今の仕事、続けたい?―「就業構造基本調査」データから探るアラフォー世代の仕事事情④

総務省「就業構造基本調査」(平成24年)データからアラフォー世代の仕事事情を探るシリーズ、第4回です。

  第1回 アラフォー世代の働き方

  第2回 アラフォー世代の年収の実態

      第3回 アラフォー世代の仕事と学歴と年収の関係

※このシリーズでは、総務省が公開している「就業構造基本調査」(平成24年)のデータから、35~44歳のデータを抽出して筆者が分析した結果を報告しています。

 

アラフォー世代には、今の仕事を続けたいと思っている人、辞めたいと思っている人がそれぞれどれぐらいいるのだろうか?というのが今日のテーマです。

  

今の仕事を続けたい人、やめたい人

アラフォー男性の傾向

まず、アラフォー男性の傾向を見てみましょう。

下のグラフが示す通り、アラフォー男性全体の中では、今の仕事を続けたい人(「継続就業希望者」)が82.0%と、大半を占めています。

そして、他の仕事に変わりたい人(「転職希望者」)が10.9%、今の仕事の他に別の仕事もしたい人(「追加就業希望者」)が6.0%、仕事をすっかり辞めてしまいたい人(「就業休止希望者」)が1.1%、という割合です。

 

 就業形態別に比較すると、次のような点が指摘できます。

 ◆継続就業希望者が多い順に並べると、

  会社役員(88.6%)>正規雇用者(84.5%)>自営業主(81.7%)

       >家族従業者(73.9%)>非正規雇用者(56.4%)

 ◆非正規雇用者において、転職希望者が目立って多い(28.5%)。 

 ◆家族従業者、非正規雇用者、自営業主において、追加就業希望者が10%を超えている。

 

アラフォー女性の傾向

アラフォー女性の場合は、全体の傾向としては、アラフォー男性と比べて、今の仕事を続けたい人がやや少なく(76.6%)、転職希望者がやや多い(14.1%)ことが分かります。

 

就業形態ごとの特徴は男性のデータと類似していて、女性の場合もやはり、会社役員と正規雇用者において、継続就業を希望する人の割合が最も多く、非正規雇用者において転職を希望する人が最も多いことが分かります。

ただ、女性が男性と異なっているのは、就業形態による意識の差が比較的大きくない点。

たとえば、継続就業希望者の割合が最も少ない非正規雇用者でも71.6%で、会社役員や正社員の83.0%と比べて11.4%ほどの差ですが、男性の場合は、非正規雇用者と会社役員との間では32.2%もの差が生じています。

★男女とも、今の仕事を続けたい人が最も多いのは、会社役員と正規雇用

★男女とも、転職を希望する人が最も多いのは、非正規雇用

★特に男性の非正規雇用者は転職希望者の多さが際立っている

 

未婚者と既婚者を比べてみると 

 下のグラフでは、継続就業希望者の割合のみを抽出し、男女別・未既婚別で比較してみました。

総務省が公開しているのは、各性別・各年齢層の全体のデータと未婚者のみのデータですので、ここでは「既婚者データ」=「全体データー未婚者データ」として扱っています。したがって、死別や離別をしている人などもここでは「既婚者」に含まれています。 

 

継続就業希望者の割合が少ない(=今の仕事を辞めたいと思っている人が多い)カテゴリーを順番に挙げてみると・・・

   1位:非正規雇用の未婚男性(今の仕事を続けたい人54.9%)

   2位:非正規雇用の既婚男性(58.8%)

   3位:非正規雇用の未婚女性(64.3%)

   4位:家族従業の未婚男性(68.9%)

 

なお、家族従業というのは、自営業を営んでいる家族の手伝いをしている状況ですので、未婚者が家族従業しているということになると、おそらくは親の仕事の手伝いをしているのだろうと考えられます。

親の仕事を手伝っているアラフォーの未婚男性も、非正規雇用の人たちに次いで、今の仕事を辞めたいと思う場合が多いのですね。

 

年収との関係は?

今の仕事を続けたいかどうかという意識には、年収が重要な影響を及ぼしているだろうと予想できます。

そこで、年収の階層別(ほぼ100万円刻み)に、就業希望意識がどう分布しているのかを見てみます。

  

年収600万円以上になると、継続就業希望者が90%を超えてほぼ横ばいになりますが、年収600万円台までは年収の高さと比例して継続就業希望者の割合が多くなっています。

そして逆に、年収が高くになるのにつれて、概ね転職希望者や追加就業希望者が減っていくことが分かります。

年収100万円台の層で、転職希望者の割合が最も大きく、22.5%を占めています。

 

 

女性の場合も、年収600万円台というのが一つの区切りになっているように見えます。

年収600万円台までは年収と比例して今の仕事の継続を望む人が増え、転職したい人や副業など追加就業を希望する人が減っていく様子がこのデータから分かります。 

年収600万円を超えると、就業希望意識には年収以外の要因が大きく関わってくるのだろうと考えられます。

★男女とも、年収600万円台までは、年収が高くなるにつれて、今の仕事を続けたい人の割合が多くなり、転職希望者等が少なくなる