アラフォー世代の働き方―就業構造基本調査データから分かること

現在の日本のアラフォー世代は、いったいどんな働き方をしているのでしょうか?

総務省が公開している就業構造基本調査(平成24年)のデータを調べてみました。

以下は全て、35~44歳の日本人男女のデータを、私が抽出して分析した結果です。

 

35~44歳の人のうち、働いている人の割合は?

男性の場合、仕事をしている人(有業者)が90%以上を占めているのに対して、女性の場合、有業者は70%弱にとどまっています。

さらに、働いている女性の中でも、その1/3(女性全体の23.4%)は、あくまで家事がメインの仕事をしている人、すなわち主婦業のかたわらで仕事もしている人です。

35~44歳の女性は、仕事が主の暮らしをしている人(45.0%)、主婦業のかたわらで仕事もしている人(23.4%)、仕事をしていない専業主婦(27.9%)に三分されていることになります。

仕事が主の生き方をしている人が圧倒的多数を占める男性と比べると、かなり対照的ですね。

 

★アラフォー男性→仕事が主の人がほとんど

★アラフォー女性→仕事が主の人、主婦業が主だが仕事もしている人、仕事をしていない専業主婦に三分

 

正規雇用者の多い男性、非正規雇用者の多い女性

下のグラフは、仕事をしている35~44歳の男女が、どのような形で働いているのかを示しています。

男女それぞれ、全体の傾向と未婚者だけの傾向を見ることができます。

まず男女を比べてみると、男性の方が正規雇用者の割合が大きいことが分かります。

男性全体で言えば、仕事をしている人の78.7%が正規雇用者として企業に勤めている状況であるのに対して、女性では正規雇用者の割合は40.7%にすぎず、非正規雇用者の52.3%を下回っています。

ただし、女性においても、未婚者に限定すれば、正規雇用者の割合が57.8% と半数以上を占めます。

つまり、女性の場合、未婚者であれば正規雇用者が過半数を占め、逆に、既婚者であれば非正規雇用者の方が正規雇用者を上回っているわけです。

結婚するまでは正社員として働いていたけれども、結婚をきっかけに会社を辞めた後、仕事を復帰する際には非正規で雇われる、といったケースが多いのだろうと思われます。

男性は、結婚しているかどうかを問わず、正規雇用者の割合が全体として多いのですが、未婚者の方が非正規雇用者率が高いというのは、女性と異なっている点です。

男性は結婚に際しては経済力が期待されることも多く、収入の低い非正規雇用者は結婚しづらいという事情がこの数字の裏に潜んでいるのかもしれません。

このほか、会社役員や自営業主の割合が男性の方がやや高いのも特徴的です。

★全体的に男性の方が女性よりも正規雇用者が多い

★男性においては、既婚者よりも未婚者において非正規雇用者が多い

★女性においては、未婚者よりも既婚者において非正規雇用者が多い

★雇用者が圧倒的多数を占める一方で、自営業主は少数派

 

非正規雇用者の内訳

非正規雇用者が、具体的にどのような身分で働いているのか、その内訳も見てみましょう。

男性においては、契約社員の割合が最も高く、アルバイトがそれに続く傾向があります。

これは男性全体のデータにも、未婚の男性のみのデータにも、共通して見られる傾向です。

一方、女性の場合は、パートとして雇われている人が多いことが目を引きます。

女性の非正規雇用者の66.8%がパートです。

未婚の女性だけのデータを見ても、やはりパートが一番大きな割合(35.0%)を占めているのですが、ただ、未婚の女性の場合は、契約社員派遣社員として働いている人が比較的多いことが分かります。

非正規雇用の男性→契約社員、アルバイトとして働いている人が多い

非正規雇用の女性→パートとして働いている人が特に既婚者に多い

 

起業者の比率

自営業主として働いている人は、雇われて働いている人と比べると、あくまで少数にとどまっています。

自営業主の中で、自ら事業を起こした人がどれぐらいいるか、というのが次のグラフです。

男性の自営業主のうち74.7%、女性の自営業主のうち53.9%が自分で事業を起こしたと回答しています。

女性の場合は、未婚の自営業主に限定するならば、その割合は比較的高く、男性と匹敵するくらいの数値(66.5%)となっています。

会社役員の中に占める起業者率は、自営業主の中の起業者率よりは全体として低いのですが、男女および未既婚による特徴のあらわれ方は共通しているといえます。

つまり、会社役員のうち、自分で事業を起こした人の割合は、既婚女性において顕著に低い傾向がうかがえます。

おそらく、既婚女性が会社役員である場合は、自分自身ではなく夫などが立ち上げた会社でそういった地位を獲得するケースが多いのだろうと推測できます。

★自営業主のうちの69.0%、会社役員のうちの34.3%が自分で事業を起こした起業家

★既婚女性の自営業主および会社役員については、自分で事業を起こした人の割合が比較的低い